介助犬を1頭持ったら、その方の繋がりで増えていくこともあります。親御さんがすごく反対されていてなかなか介助犬が持てなかったけど、お友達が介助犬と暮らしている様子を見てご両親が納得して自分も持てるようになったというパターン。
障がい者になってから何年も介助犬のことを知らずにいた方が、たまたま病院で見かけた際に「あれは介助犬だよ」と教えてもらって、自分も一緒に暮らしてみたい、と興味を持った方もいらっしゃいます。
その方がまた知り合いの方をご紹介くださったり。身近に介助犬の存在があるとみなさん興味を持たれます。自分も持ってみようかなと考える方も多いです。
しかし、介助犬の存在を知っているだけの方はまた感じ方が違い、遠い存在だと感じているようです。
たとえば、「介助犬の存在は知っていますが、私は持てないですよね。だって1万5千人も待っているんですよね。」と言われたことがありました。
たしかに啓発活動の際に「介助犬はこれだけ少ないんです。なので認知度を高める協力をお願いします。支援をお願いします。」とお話するときに、日本には1万5千人ほど介助犬が必要な方がいらっしゃるという説明をします。でもそれは1万5千人の方が全て手を挙げているわけではなく、潜在的にいるというお話です。
ほかにも、育成費用が1頭につき250万円から300万円かかるという話を耳にして「そんな貴重な犬を私なんかが手にするなんておこがましいです」と思われたり、テレビで特集されているのを見かけた方は「自分よりすごく重度な方が介助犬を持つものなんだ。私は頑張ればなんとか生活できる。このような状況で介助犬は持てないだろう」と判断される方もいらっしゃいます。
その逆で「犬のお世話もあるし、ある程度動ける人じゃないと無理だよね」と諦めてしまう方もいらっしゃいます。
みなさんに知っていただきたいのは「全ての方に可能性があります!まずは問い合わせてみてください」ということ。すごく勇気が必要なことだと思います。でも、まずは一歩踏み出してみてほしい。
せっかく勇気をもって問い合わせをしてくださったのに、けんもほろろに「あなたみたいな人には介助犬は出せないです」と冷たく言われたらシャッターをガラガラッと下ろされてしまった気持ちになりますよね。
ですので、私たちの協会では電話対応の大事さを伝えています。「協会の顔だからね。最初の電話は大事だよ。すごく勇気を振り絞ってかけてきてくれる方もいらっしゃるからね」としっかり教育しています。
ありがたいことに「電話で対応してくれた職員さんが、すごく感じの良い方だったのでここに決めました」と言ってくださる方や、「イベントで対応してくださった職員さんがすごく親切にしてくださいました」言ってくださる方もいらっしゃいました。
電話を取ってくれている職員も、広報活動をしてくれている職員も、その職員がきっかけでその方の人生を左右することも多いと思います。
介助犬を持つか持たないかで人生はすごく変わると私たちは思っていますので。